アドラーとの出会い 後編

アドラーは、人間は優越性と劣等感を持っているという。
それが息苦しさの源泉だというのだ。
自分のことが好きになれないというのは、
そういう自分をあえて選んでいる。
自分のことを好きになってはいけないのだと思っている。
自分のことが好きになると自信をもってしまい、
対人関係の中に入っていかなければならなくなる。
すると、いろんな軋轢や摩擦にさいなまれる。
要するに、イヤな思いもし、傷つきもする。
それが嫌だから、自信のない自分の殻に閉じこもっておこう
というふうに考える。
なぜ傷つくのかというと、他人のことが許せないからだろう。
理不尽なことをされた、イヤなことを言われたことで傷つく。
でも、他人は他人の主観的な世界に生きているので、
他人は自分のために生きてはいないのだから、
そういうこともある、と考えることができない。
他人と自分は違うというのは、
この「他人は他人の主観的な世界に生きている」ということを
理解できないと、本当の意味では納得できないのである。
「なんであんなことを言うのか、信じられない!」
といって怒り、傷つく。
でも、そういう人も許すことができれば、傷つかないはずなのだ。
そうして自分が傷つかないことを学んでいれば、
人間関係の中に入っていって、それほど負担に思うこともなければ、
ストレスを感じることもなく、生きずらさもない。
私は人間関係で悩むことがほとんどないが、
なぜなのかと考えてみたとき、
「自分だって失敗するし、間違ったこともする」というのが根底に
あるからなんだろうと思う。
言い換えれば、自分に甘いから、他人にも甘い。
アドラーは人生の悩みのすべては、人間関係の中にある
と語っている。
「私の悩みは給料が安いことだ」というが、
それも実際は、「あの人と比べて安い」ことが悩みなのだ。
「あの人」に対する劣等感を転換させて、優越感を得たいための悩みと
考えれば、これも人間関係の悩みということができる。
ここまではアドラー心理学のほんの入り口に過ぎない。
もっと学んでいけば、もっと面白そうなので、
関連本をどんどん読んでいきたいと思っている。