アドラーは、人間は優越性と劣等感を持っているという。
それが息苦しさの源泉だというのだ。
自分のことが好きになれないというのは、
そういう自分をあえて選んでいる。
自分のことを好きになってはいけないのだと思っている。
自分のことが好きになると自信をもってしまい、
対人関係の中に入っていかなければならなくなる。
すると、いろんな軋轢や摩擦にさいなまれる。
要するに、イヤな思いもし、傷つきもする。
それが嫌だから、自信のない自分の殻に閉じこもっておこう
というふうに考える。
なぜ傷つくのかというと、他人のことが許せないからだろう。
理不尽なことをされた、イヤなことを言われたことで傷つく。
でも、他人は他人の主観的な世界に生きているので、
他人は自分のために生きてはいないのだから、
そういうこともある、と考えることができない。
他人と自分は違うというのは、
この「他人は他人の主観的な世界に生きている」ということを
理解できないと、本当の意味では納得できないのである。
「なんであんなことを言うのか、信じられない!」
といって怒り、傷つく。
でも、そういう人も許すことができれば、傷つかないはずなのだ。
そうして自分が傷つかないことを学んでいれば、
人間関係の中に入っていって、それほど負担に思うこともなければ、
ストレスを感じることもなく、生きずらさもない。
私は人間関係で悩むことがほとんどないが、
なぜなのかと考えてみたとき、
「自分だって失敗するし、間違ったこともする」というのが根底に
あるからなんだろうと思う。
言い換えれば、自分に甘いから、他人にも甘い。
アドラーは人生の悩みのすべては、人間関係の中にある
と語っている。
「私の悩みは給料が安いことだ」というが、
それも実際は、「あの人と比べて安い」ことが悩みなのだ。
「あの人」に対する劣等感を転換させて、優越感を得たいための悩みと
考えれば、これも人間関係の悩みということができる。
ここまではアドラー心理学のほんの入り口に過ぎない。
もっと学んでいけば、もっと面白そうなので、
関連本をどんどん読んでいきたいと思っている。