一緒にワールドカップを見た男

ラグビーのにわかファンが増えているという。
「にわかファン」と聞くと必ず思い出す話がある。
私がまだ大学生だったころの1998年のこと。
当時、私の友人とその友人など計4人で、その年行われた
ワールドカップの日本代表戦を見ようということで、
クロアチア戦をたしか神宮のパブリックビューイングに出かけた。
「友人の友人」のうち2人はカップルだったのだが、
その彼の運転する車で神宮まで向かった。
4人でひとしきり盛り上がった。
その彼も、「ウォー!」と、とても興奮した様子だった。
その彼がハーフタイムでぽろっとこう言った。
「で、これに勝ったらどうなるの?」
私は吉本新喜劇ばりにこけそうになった。
「ええっ、それ知らんとあんだけ興奮してたん?」って思った。
日本代表は第1戦のアルゼンチンにすでに負けており、
このクロアチア戦に負ければ予選リーグ敗退が決定する。
がけっぷちで勝利を目指しているから、あれほど興奮するものだと
誰もが理解していたのだが、彼はそうではなかった。
こういうスポーツの見方もあるかと思った。
かつての私ならそういう見方をバカにしたものだけど、
最初はそういう見方でいいのだ。
興味をもつことが大事。
ラグビーも国内のリーグ戦でどれだけ観客が増えるか見ものだ。