本は人の幸せのためにある

電子書籍元年といいながら、ipadの発売以来、
大きな動きのないまま2010年も終わりが近づいてきている。
大手、中堅の出版社は電子書籍にかなり積極的に
取り組み始めているような雰囲気が見える。
そのひとつ、主婦の友社は新書に新規参入するのと同時に、
ipadで読めるアプリを無料で配布し、さらに新刊の新書を
全文公開している。
『日本の「水」がなくなる日』(橋本淳司著)がそれだ。
配信はストリーミング形式なので、ネット環境でしか読めない。
カギ(「」)の表示が美しくないとか、見難さはちょっとあるが、
ページをめくる感じや、章の頭を呼び出せる機能は使いやすく
非常に読みやすかった。
こうした実験的な試みで何が得られるのか注目だ。
私は女子大での講義のときにも言ったのだが、
ものすごくかっこよく言っちゃうと、本というものは、
人間の幸せのためにあると思っているので、
紙の本であろうと、電子書籍であろうと、書いてあるものを誰かが読み、
何かを感じて、幸せになるためのほんの少しの助けになればいい。
書いたものが読者に届きやすくなるのであれば、
電子書籍市場が発展するのは大いに結構だ。
2010年11月以降、さまざまな電子書籍を読める端末が発売される。
こうした端末の売れ行きは、出版社が新刊を電子書籍
出すかどうかにかかっている。
版元さんには、ぜひ新刊を電子書籍でも出すようにがんばってほしい。