いま政府は消費税アップと法人税ダウンを目論んでいるようだ。
総理ひとりの口からは消費税アップしか聞こえてこないが、
法人税ダウンも閣僚から出ている。
「消費税アップと法人税ダウン」こそ、この国の迷走ぶりを表している。
法人税ダウンで語られるのは、
「日本の法人税は欧米より高い。欧米並みに引き下げるべきだ」
というもの。
消費税アップで語られるのは、
「日本の消費税は欧米より低い。欧米並みに引き上げるべきだ」
というもの。
こういうときの「欧米」がくせものだ。
「欧米」とは、ヨーロッパとアメリカをいう。
しかし、ヨーロッパの中でもいろいろ国によって違う。
アメリカのように少ない税金で、国民へのサービスが手薄な小さな政府
を志向する国はフランスやイギリスなどで、
よく高福祉の国として紹介されるスウェーデン、ノルウェー、
フィンランドなんかは欧州だけれども、たくさんの税金を課し、
国民への手厚いサービスを行う、大きな政府を志向している。
「欧米」でひとくくりにされると、違和感がある。
高度成長していたときには、あまり出費のことを考えなくてもよかったが、
収入が減ってきたら、出費のことを考えなくてはならない。
つまり、政府が、国としてやるべき事業はなんなのかを
決めなくてはいけない。
そして、そのために税制をどのように構築するかを考えるべきなのだ。
ビジョンも何もなく、ある一面を見て、
「あの国がうまくいってるから、まねしてみよう」
「この国はあれでうまくやってるらしい」と、右往左往するのは
やめていただきたい。
それというのも、日本人は「欧米では……」の口説き文句に弱いから。
簡単に「そうか」と思ってしまう。
これはもう日本人の深く深く深〜いところに根ざしている病理です。
欧米がどうこうではなく、それらの国々のやり方を参考にして、
日本の風土に合った独自の制度をつくらなければなりません。