ロッカーな生き方って?

新聞の夕刊に町田康さんという著名な作家のエッセイがあった。
町田さんは自身がロックを志す人であるだけに、
最近の軟弱なロッカーを憂慮している。曰く、
敬語を話すべきではなく、蓄財はダメ、節約もダメ、
浪費して莫大な借金を負うべし、酒タバコはひととおりたしなみ、
できれば30前には死んでおきたい、のだそうだ。
ユーモアにあふれた文章に、ニヤリとした。


ロックはもともと反体制の主張をするためのもので、
「体制を批判する。そのためにギターを持った」のであって、
ギター少年が純粋に音楽を極めるための音楽ではなかった。
日本では内田裕也氏がロック界の最古参で、そのちょっと下の世代が
矢沢永吉氏になるのだと思う。
反体制を叫ぶのがロックだったのに、
そこに恋愛を吹き込んだのがB’zであった。
彼らは売れる音楽を極めていく、町田氏が(冗談で)憂慮するロッカー
のはしりだったのかもしれない。
B’zは酒もタバコもほどほどで、アメリカ人のロックバンドのように
ドラッグはやらず(たぶん)、そのために死んだりすることもない。
離合集散もしないし、律儀に数年に1枚のアルバムをリリースする。
彼らが出てきた二十数年前は、もはやベトナム戦争もなく、
安保闘争も下火になった時代。反体制を叫ぼうにも大きな敵がなかった。
謙譲語を話し、律儀にスタッフに頭を下げてまわるロッカーが
増えたものも時代の流れなのかも。