森のダム機能を活性化させよう

群馬県の八ツ場ダムの建設中止を表明している前原国交相が、
ダムをつくるかわりに「森のダム機能」を生かすべく、
森林整備をしていくという方向性を打ち出しました。
やっとそういう国土開発の視点が出てきたかと嬉しい思いです。
「森のダム機能」とは、森の保水力のことです。
森の土壌にはたくさんの孔があり、それがスポンジの小さな穴の
役割を果たし、たくさんの水分を吸着します。
森には人工のダムの何倍もの水を保持する能力があるのです。
しかし、森のダム機能を高めるためにはある程度、
人の手が加えられなければなりません。
特に人工林は手を加えられない森林が増えており、
それが流出しやすい土壌をつくっているのです。
もちろん、森のダムだけでは治水は叶えられません。
なので、森のダム機能を上げつつ、場所によっては人工のダムを
つくるということが必要になります。
森林インストラクターの試験でもはっきり「人工のダムは必要」と
なっています。そうでないと試験で点が取れません。
森林インストラクターを認定しているのが農水省の外郭団体になるので、
政府の方針として「ダム必要」の立場を踏襲せざるをえないのでしょう。
前原大臣の意向としてはもちろん、人工ダムを根絶しようとうのではなく、
「これまでは人工のダムに偏りすぎていたので、
もうちょっと天然のダムを見直そうよ」というものだと思います。
人工ダムにはいわゆるダムマネーがついてまわり、
一部の推進派住民や役人、建設業者が利権を貪っているのも事実。
ここは人工ダムのようなコンクリートの建設物よりも、
人工林の整備、森林の整備に税金を投入するウェートを増やすべき。
今後の進展を注意深く見守ろうと思います。