夫と娘と義父と

娘が生まれると、決まっていわれる2大フレーズが


「メロメロになるんじゃないのぉ〜」というのと、
「ゆくゆくは『お父さんの靴下と一緒に洗わないで』って
言われるんだよぉ〜」


であると、前に書いた。
それを聞いたある女性が、
「私はお父さんが嫌いな時期がなかった。母親が父親を嫌っていたら、
私も嫌いになったかもしれないけど、うちは仲がよかった。
母親が父親を扱うときの態度によって、娘は父親を好きにも嫌いにもなる」
という話も書いた。


ある中年男性(亀山武夫さん、仮名:52歳)に、
そういう話をしたところ、こんな話をしてくれた。
彼が、子供(小学生2人)と奥さんを連れて、
奥さんの実家に遊びに行ったときのことだ。
奥さんの実家には奥さんのお父さんがいる。
亀山さんにとっては、義父にあたる。
亀山さんは、子供たちが、おじいさん(義父)と話をしているのを
傍らで聞いていた。
「おじいちゃん、うちはね、お父さんが毎日飲み歩くから貧乏なんだって」
そう聞いた義父の目の色が変わった。
「おい、よし子(亀山さんの奥さん)をここに呼べ!」
娘を呼び出した義父はこういったという。
「武夫さんのことをなんでそんなふうに言うんだ!」
机を叩いて激怒したというのである。
子供の父親を悪くいうべきではないし、教育にも悪いというのだ。
今の父親なら、娘かわいさに、夫にそれとなく、やんわりと苦言を
呈するのが精一杯であろう。
昔ながらの日本人である。
これは母親が父親についていう悪口だけではない。
誰かがこんなことをいっていた。
「子供には絶対に夫や妻の悪口を言ってはいけない
血を分けた子供は、自分の半分を否定された気持ちになるから」
そんな話を思い出した。
子供に話すときには、夫婦お互いを褒めること。
これは立派な教育です。
亀山さん、とてもいい話をありがとうございました。