黒澤明監督の不朽の名作、「生きる」のリメイク作品。
黒澤版は2時間以上ある大作だが、
こちらは現代に即して100分に収められている。
それが原因か、主人公が子どもの遊び場をつくるまでの
奮闘がやや薄かった。
けれど、作り手が黒澤版を十分にリスペクトしている
内容で、それなりの感動はあった。
黒澤版もこの作品も役人が主人公という珍しい映画。
その仕事ぶりを皮肉にとらえたり、揶揄しているというのは
正しい批判ではないと思う。
長年仕事をしていると誰もが陥りがちな
虚無感との闘いがある。
この主人公の最初のうちは希望に燃えて仕事をしていたのだろう。
だが、そのうち自分は何が本当はしたかったのか
わからなくなってくる。
「生きるってなに? どういうこと?」
これを正面から問うてくるのが「生きる」という作品だ。
名作というのは、受け取り手個人にとってしかありえない。
この作品に縁があった人はとてもラッキーです。
若い外国人が本作をみたらどう思うか、聞いてみたい。