今回のW杯で、ラグビーの面白さを知ったという人も多いだろう。
私が思うおもしろさのひとつに、
他のスポーツと違って、ポジションの個性がはっきりしている
というのがある。
ラグビーは大きくFW(フォワード)とBK(バックス)に分かれる。
一般にFWは体が大きくて力強い、
BKは体が小さくて俊敏である。
一般にラグビーのようなコンタクトスポーツでは
体の大きいものが有利と思われがちだが、そうでもない。
身体が大きくなると、スピードは普通落ちる。
すると、俊敏な選手に抜かれてしまう。
体重とスピードはどちらを高めようとすると、
どちらかが低下するというトレードオフの関係になる。
大きな選手がボールを持って走るときは、
小さな選手に対しては有利になるが、
逆のときは、立場が完全に逆転する。
このことは、大きい選手が絶対的に有利ではないことを示している。
力強いことや、スピードがあることは、
それだけでは単に優れている特徴にならず、
「単なる違い」にしかならない。
「みんな得意なことが違っているだけで、
優劣というものはないんだ」
というのがラグビーをおもしろくする。
そして、これは世の中のあるべき姿でもある。
できるできない、上手い下手ではなく、
みんな好きなことや、得意なことが違うだけなのだ、
そして、違っているから社会は豊かになるのだ。
そう考えられたら、世の中からいじめなんてなくなるよ。