境目は「あんこ」であること

この仕事をしていて、気をつけていることは、
本質的な問題がどこにあるのかを常に
見ようとしていることだ。
本質を見ようとすると、いつも問題になるのが、
線引きのところだ。
どこで線を引くのか、そこに本質が出てくる。
例えば、アンパンマンの顔のパンを売るときの話。
アンパンマンの顔の形状のパンを売ることは、
やなせたかし事務所か、日本テレビか、それとも他の
どこかから、著作権侵害で訴えられる可能性がある。
でも、パン屋業界では明確な線引きがあるという。
それは、「中身があんこだとアウト!」ということ。
こしあんつぶあんかに関わらず、
あんこが入っていたらとにかくアウト。
なぜだろうか?
それは、その線引きが明らかだからだろう。
あんこを入れていたら、もう言い訳ができない。
でも、顔の形状だと
「うちのパンの顔はアンパンマンのと違って楕円です。
丸くありません」という申し開きができてしまう。
形状は線引きができないのだ。
この場合は、あんこが類似性の本質だった。
本質というのは、ものごとをよく考えないと
なかなか見えてこないものである。