ライターという人種 

ノンフィクションライターをしていると、

「ライターといっている人も、みんな本当は作家になりたいと

思っているのだろう」

とか、

「ライターは作家になれなかった人たち」などと

認識している人は、出版業界に多いのかもしれない。

私の場合、まったく作家向きではないのでライターが心地いい。

私の生い立ちは、まったくもって快活な少年で、

学校は毎日楽しく行ったし、苦労したのは受験くらいで

学校に悪い印象がほとんどない。

強いていえば、クセが強い先生の授業が分かりにくかったことくらいか。

そんな先生たちもモノマネのネタにしたのでおもしろかった。

若い時代に鬱屈した経験がない。

社会人になってからも、まず人間関係で悩んだことがない。

クリエイターたるもの、自分の中に「これが伝えたいんだ」

というドロドロのマグマがないと、すぐに枯渇する。

そういう強烈なものが私にはない。

それより、言葉にできない人が持っているドロドロのマグマを

うまく言語化して世に伝えたいという思いのほうが強い。

次男気質がそうさせるのかわからないが、

自分が前面に出るより、サポートにまわるほうが好き。

先頭に立って先導するより、しんがりで全体を見るほうが好き。

リーダーシップより、フォロワーシップが向いている。

そういう書き手もいるというだけのことだ。