ネコは外来種だから駆除すべきか②

外来種をどう定義するのかは難しい問題だ。
「明治時代以降」という定義を取っ払ってしまうと、
とたんにわからなくなる。
たとえば、猫だ。
国立環境研究所のサイトによると、ネコは6000年前に
家畜化されたらしく、日本には「ネズミ防除対策のため導入される」
と書いてある。
つまり、日本列島がユーラシア大陸から分離して日本海ができた
ときには、ネコはいなかったということだ。
ネコだけではない。
魏志倭人伝には「牛、馬、虎、豹、羊、カササギ」はいないと書いてある。
これが本当なら、これらをすべて駆除しなければいけなくなる。
牛、馬、虎、豹、羊は野生にはいないが、カササギはいる。
ネコやカササギを駆除することなどできない。
しかも、国立環境研究所のサイトにはネコについてこう書いてある。
「ペットとして飼育され,野外で放し飼いにされることも多い.
また,特定の飼い主を持たず半野生状態で都市部で暮らすもの(“ノラネコ”),
自然環境化で完全に野生化しているもの(“ノネコ”)もいる.
いわゆるノネコは,しばしば外来種として大きな生態影響を引き起こす」
ノラネコを駆除しようとしたら動物愛護団体が怒るだろう。
カミツキガメは駆除するのに、ノラネコは駆除しなくていいのか
という話になる。(もちろん、駆除すべきという人もいる)
結局、環境問題というのは、どれくらいの期間で影響が及ぶのか、
どれくらの範囲に影響が及ぶのか、誰が影響を受けるのかを
限定しなければ何も手は打てない。
「池の水をぜんぶ抜く」は、外来種駆除のためでなく、
「こんなに多様な生物がいる環境っていいよね」という話であれば、
もっと見ようという気になるのだが。