「便乗値上げ」は本当か?②

便乗値上げについて、もうひとつ考えたことがある。
「便乗値上げ」というが、どこからが便乗値上げにあたるのか
判断が非常につきにくいという問題がある。
ネットオークションの場合、ミネラルウォーターのペットボトルに
水道水を入れて、「ミネラルウォーターでござい」と売れば
詐欺になるが、水をただ水として売った場合、
それが1本1000円でも何の問題もない。
価値を認めた人がその対価として金を払うだけの話。
オークションというのは、本来そういうものだからだ。
これはネットショップでも基本は同じで、「高い」と思えば買わなければ
いいのだし、価値を認められるのであれば買えばいい。
そして、それは実体のある店舗も同じだ。
しかし、そうした法律上の問題とは別に、「非常時」「足元を見ている」
という要素が加わると、胸がざわつくものがある。
これは感情の問題で、どうも納得しがたいものが残るのは確かだ。


また、本当に壊滅的な被害を受けた地域と、それほどの被害を
受けなかった地域では、同じ宮城、岩手、福島県内でも
震災に対する温度差がある。
がれきの山に囲まれた状態で法外な値段でものを売る人はいなようで、
仙台の中心地など被災を免れた人、軽い被災で済んだ人に向けて
法外な値付けによる商売が行われている。
「便乗値上げ」という言葉は、「暴利をむさぼる悪い行為」という、
ネガティブな印象を与えるが、通常の流通経路を使えないとか、
配送に必要なガソリン価格の高騰という状態を考えれば、
ある程度の価格上昇はしかたのないものだともいえる。
それらをいっしょくたにして、
すべからく便乗値上げと断罪すべきではない。
しかも高値で売られていても文句も言わないで買う人がいる
ことも事実であることを知っておくべきだろう。
被災を免れた私たちにはもっとやるべきことがある。