おとなになるということ

大人になってよかった!


と思うのは、大人食いしたとき。
いえ、そんな大そうなことではございません。
私、きつねうどんが大好きなのです。
どれくらい好きかというと、カップのきつねうどんといなり寿司を
間違って買ってしまうくらい好きなんです。
今回は、そのカップのきつねうどんを大人食い、
つまり2つ一緒に食べるという暴挙に打って出たのです!


それは妻がママさん友だちとの飲み会に出かけたときのこと。
私はこのときを千載一遇のチャンスと位置づけておりました。
家で、しかも1人で夕食をするのは、こういうことでもないかぎり
ないからです。
午後9時、二つのカップきつねうどんに湯を注ぎ、
(普通の鍋に一杯の湯を沸かしてギリギリだった)
通常5分のところ、3分半でフタを開け、中をかきまぜた。
これを通常1回行うところ、今回は2つあるので、2回行った。


そして、ふたつのカップ麺がほどよく混ざったところで、
食べるという作業に取り掛かる。
しかし、同じものがふたつなので、どちらから食べるか迷う。
そして、食べはじめてみたはいいものの、どちらかを完食してから
次のカップ麺に取り掛かればいいのか、どちらも交互に食べながら
2つを一緒にフィニッシュすればいいのかわからなくなってくる。
軽くパニックになる。
私は必死に考えを整理した。
少なくとも3つの選択肢がある。


1.どちらかを完食してから次に取り掛かる
2.2つを同時に食べ進め、一緒にフィニッシュする
3.2つを同時に食べ進め、どちらも25パーセント食べたところで
 1つの容器にすべてを集め、1.5倍をつくる


私は熟慮の末、3の選択肢をとることにした。
苦渋の決断であった。断腸の思いであった。
果たして、「1.5倍たっぷしきつねうどん」は完成した。
私はそれを喜々として食べた。
私はこのときほど大人になってよかったと思ったことはなかった。
大人になるとはそういうことだ。



ただ、またやりたいとはあまり思わないが。