「心の時代」

おくりびと」で米国アカデミー賞の外国作品賞を受賞した。
主演の本木雅弘さんがインタビューのヒットの原因を分析した
話のなかで、彼がアメリカで聞いたところによると、
「経済がこうなって、これからは心の時代だと言われている。
そこにうまく『おくりびと』がハマったんではないか」
ということを語っていた。
「心の時代」。久しぶりに聞いた。
ぼくがライターの仕事をはじめたのは1999年だが、
その後、2002年ぐらいから取材先で
こういうことを言う人が多かった。
会社の社長や弁護士、政治家などである。
あれから10年近く経ったが、あれから「心の時代」に
なったのだろうかと思う。
GDPとか、物質的豊かさとか、目に見えるものばかり見ている。
政府や指導的な地位にある人たちも、自分たちが自信を持って
こういう国や社会をつくるためにがんばろうと言えないから、
とりあえず目に見えるGDPなどの指標を成長の目安にしている。
景気が回復することが、国や社会として成長したことになるのか。
「これからは心の時代」というなら、
そういう時代に、私たちは具体的に何をすればいいのだろう。
「心が成長した」といえる指標がこの世に存在するなら
ぜひお目にかかってみたい。
目に見えないものは信じない、考えようとしない、感じようともしない
現代人にはやっぱり指標というものさしが必要だ。
学生のように偏差値というわかりやすいものさしを
この「心の時代」につくることが必要だ。
「いま幸せだ」と答える比率が最も高いのは30代女性らしい。
以下、年齢が高くなるほど低くなる。
まずこの「幸せ」と感じられる人の比率を高めないといけない。
年をとるほど幸せ感が増す国や社会にしないといけない。
総理の支持率よりも、もっとこういう数字について
考えるべきことがある。