ビリーズ・ブートキャンプの価値

大ヒットすると必ず批判や皮肉が出てくる。
ビリーズ・ブートキャンプも「あんなのはアメリカで流行ったのを
日本にもってきただけ。しかも3600円のものを1万4700円で
売られていて、日本人はぼったくられている」という内容の
指摘が出ている。
指摘しているのは米国在住の日本人たちだ。
ビリー氏が来日したときも、「日本で荒稼ぎしている」という
人が出てくる。まあ、ヨン様のときもそういうのありましたけど。
ものの価値というのは、買う本人がそれ相応の対価と認めて
お金を払うのだから、ぼったくられていようがいまいが、
本人が価値を認めなければ買わないだけの話である。
うまいなと思うのは、販売戦略です。
1万4700円だがレポートを提出すれば、5000円の
キャッシュバックがなされることになっている。
さらに、ビリーズバンドなるトレーニングチューブがついてくるから、
これが3000円とすると、
で、DVD4枚で6700円だから、1枚1700円ぐらいと
考えると「そんなもんか」と思ってしまう。
「軍隊式トレーニング」というのが日本人にとっては斬新。
「いかにもつらそう。それだけに効きそう」と思ってしまう。
エアロビクスは男性には敷居が高い感じがするが、
軍隊式と言われると、男性は「よしッ!」と思ってしまう。
私の場合は、不要になった友人から譲ってもらったのだが、
買ってもよかったと思う。適正価格といえなくもない。
DVDを買うのにビリー氏がアメリカで有名かどうかはあまり
関係がないし、アメリカで流行っているかどうかも関係ない。
潜在的にみんなが「やっぱちゃんと運動しないと痩せないよね」
と思っていたということなのだろうと思う。
そして、1万4700円なりをこの商品の対価として出して
しまうのは、何度も言っているようにビリー氏のキャラによる。
実際、なぜブートキャンプが流行っているかのアンケートでは
「ダイエットに効きそうだから」を挙げた人よりも、
「ビリー氏のキャラクター」を挙げた人のほうが多かった。
在米日本人でこの日本でのビリー人気を見ている人にとっては
奇妙に写るかもしれないが、私たちは別に騙されているわけでは
ないし、それどころか「いいもの見つけた」とさえ思っているのだ。
アメリカで暮らしながら日本を見ていると、日本がアメリカ人の商売に
うまく乗せられていると思ってしまうのかもしれない。
こういうことをしたり顔でいう海外に住む日本人は多いのである。
日本の消費者は世界で一番厳しい目を持っている。
だからこそ高品質のモノやサービスが生まれている。
アメリカでは流行っていないのに、日本人は乗せられている」
と思うこと自体、逆に欧米コンプレックスの裏返しに私には思える。
アメリカで流行ろうが、日本で流行ろうが、いいものはいいという
自分の目を持たないと、簡単に騙されてしまう。
「全米で大ヒット!」は確かにウリにはなる。
それだけで飛びつくほど日本人はバカじゃない。
ブートキャンプの大ヒットは、流行とモノの価値を考えさせてくれる
よい教材だと思います。
そういえば、「欧米かッ」というツッコミが流行ったのも
欧米コンプレックスが日本人の根っこにあるからなのかもしれない。