カラスは神の使い?

8月15日の本ブログの記事で、郷里のお祭『護法祭』について
書きました。「護法実(ゴーサマ)」がカラスとなって寺の境内を
飛び回って「お遊び」になるというお祭である。
このことを仕事上で付き合いのある校閲さんに話したところ、
それは「ヤタガラス」ではないかとのご指摘を受けた。
「ヤタガラス」とは『古事記』、『日本書紀』に記載のある
三本足の烏「やたがらす」のことで、天照大神の子孫である
神武天皇の東征軍が熊野から大和に攻め入る道中で迷ったとき、
天からこの烏が舞い降りて一行を大和まで導いたとされる記述に
基づく伝説である。
サッカー日本代表のユニホームの胸のエンブレムにもこの
ヤタガラスがあるのは有名な話だ。
護法祭のある地域の市町村である美咲町のHPによると、


「護法実が行う護法飛びは、烏護法飛びとも言われます。
これは、護法善神の使いが烏であるため、羽を広げて高く舞い上がる
動作をするからです。
古くから烏を神の使いとしているのは、熊野三山の神々であることから、
両山寺の護法飛びは、遠く熊野三山を拠点とした本山修験道の影響を
受けていると言えます。
また、死者の魂が集まる熊野では、烏は死者の霊の化現と
されていました。護法祭における護法実は尸人(しじん)と呼ばれ、
しかばねと解されます。
そして、この魂の抜けた憑坐に修験者が烏=死者の霊を憑(つ)けて、
霊界からのメッセージを人間界に伝えている、とも考えられます」


とある。なるほど、なぜカラスが神の使いになっているのかはわかった。
しかし、気になるのは日本に仏教が入ってきたのは6世紀の話で、
外国の宗教であった仏教には神の概念はなかったということだ。
このお祭が始まるのは1275年の話だから、
神仏習合によって仏も神もごちゃ混ぜになったので、
真言宗の両山寺でも神様の概念が生まれたというわけか。
仏教には霊魂の考え方はないので、修験道の考え方が影響している
のかもしれない。
修験道については未整理なので、また調べてみることにします。