手段を目的化せよ

IT関連だけはまだまだ新たなマーケットが生まれる
可能性があるが、それ以外の国内マーケットはほぼ飽和状態で、
ニッチしか儲け口はない。
私の好きなエコノミスト森永卓郎氏が語っている
マーケットが飽和しない分野には次のようなものがある。
1.コレクション
2.文化・芸術
3.恋愛
これら三つの分野はマーケットが飽和しない。
コレクション市場は100個集めても101個目が欲しくなる。
音楽CDが100枚あっても新しいアーティストが出てきたら、
また欲しくなるものだ。
ソニーがエンターティメント分野に参入したのも家電・AV機器関連
市場が飽和すると睨んでのことだろう。
恋愛関係も同じで、外国人女性に何億円もつぎ込んだ人がいた。
これら三つにまつわる分野はモノがいくらあっても満足がない。
とてもいいヒントだ。
今またスポーツカーがたくさん出てくるようになった。
燃費の悪いスポーツカーは時代に逆行しているかのように見える。
けれど、これはセカンドカー、つまりコレクションとして
の購買意欲に訴えかけているのだ。
ミニカーと一緒でコレクション市場なのだ。
そうすると、買い替え需要しかないと思われていた分野も
新たなマーケットを開拓できる。
人間は手段を目的化してきた歴史がある。
昔は、車は移動手段だったが、今は運転そのものが
ドライブという目的になる。
生きるための食だったのが、今はたのしむための食もある。
だから、セカンドカーとしてのスポーツカーが売れるし、
スローフードという考え方が出てくる。
手段を目的化すればいい。
たとえば、炊飯器を目的化する。
炊飯を面白くするための鍋をつくるのだ。
火加減を薪で操作するぐらい手間のかかる炊飯器をつくるのである。
また、掃除機を目的化する。
掃除機で掃除をすることが心の浄化にもなるような掃除機を
開発するのだ。掃除がストレス解消になるのはよく知られている。
今まで雑務と思われてきた作業がたのしみになることを
人間はこれまでの歴史からよく知っている。
楽しみにはコレクション、文化・芸術、恋愛の要素が欠かせない。
まだまだ新しいものをつくる余地はたくさんある。