時代とは

時代ってほんとにどんどん変わっていくんですね。
NHKスペシャルでイトーヨーカ堂の再建物語の番組をやっていた。
タイトルは「どうしたら買ってくれるのか」だ。
もうこのタイトルからしてズキンときましたね。
イトーヨーカ堂は傘下にセブンイレブンを持っていたのだけど、
今やセブンイレブンのほうが元気になってきた。
ニッポン放送とフジテレビみたいだったわけだ。
それでですね、イトーヨーカ堂持ち株会社をつくって、
セブンイレブンとの親子の逆転現象を解消しようとした。
んで、あのイトーヨーカ堂のハトのマークをやめて
新たなロゴにしたと思うんですね。
今、一生懸命になって、安売りでやってきたイメージを
払拭しようとしている。
昔はダイエーに象徴されるように、大量生産大量消費社会に乗っかって
安売り戦略をやっても生きていけた。
でも、それだけでは売れなくなってきた。貧富の差が出てきて、
中流層が二極化してきた。当然、消費行動も二極化していった。
消費にもこだわりを持つようになってきたというのだ。
その中で変われなかった企業は姿を消していった。
イトーヨーカ堂鈴木敏文会長が言っていたことが
印象的だった。
「お客様から見れば、こんな安物売ってと思う。それは正しいんです。
正しいことを私たちもわかっているんです。でも、その渦の中に
いるとなかなか変われないんです」
あれだけの敏腕経営者がこんなことを言うなんてすごいですよ。
ああ、変わるのって、それだけ大変なことなんだと
思わずにいられなかった。
小売業を見ていると、時代の変化が見られておもしろい。
私の実家の隣の市では、かつて駅前商店街があって賑わって
いたらしいのだが、駅前に有名百貨店ができて、商店街は
シャッター街になった。
最近になって郊外にシネコンなどを抱えた複合ショッピング
モールができて、今度はその有名百貨店がつぶれた。
平日にその複合ショッピングモールを訪れてみたが、
ベビーカーを押す若いカップルやお年寄りまで、多くの人で
賑わっていた。
社会構造とか、消費行動が時代と共に変わっていく中で
変われなかったところが店を閉めることになる。
そうやって複雑に絡み合った社会情勢を的確に分析し、
ビジネスに反映させていくことは並大抵のことではない。
翻って、自分の仕事について考えさせられる。
時代が変わったことに気づかないで、昔と同じことを
やっていないか。
「どうしたら買ってくれるのか」
これはちょっと考えたぐらいでは答えが出そうもない。