進む世界の分断化 前編 

プル型、プッシュ型

これは情報を提供する側から見た情報提供のやり方のことをいう。

プル型は注文された場合に限って情報を提供する。

プッシュ型は注文されないのに情報提供する。

プル型は、WEBの宣伝サイトだ。検索された人が情報を得られる。

プッシュ型は、町中の看板だ。見たいと思ってない人にも情報を

なかば強制的に取得させるやり方。

企業のマーケティングではこうした手法を取捨選択する。

一方で、情報を得る側としてもこのプル型とプッシュ型を

意識しておいたほうがよい。

というのは、プル型ばかりの情報取得ばかりしていると、

フィルターバブルに閉じ込められてしまうからだ。

フィルターがかかった情報の泡の中に閉じ込められるとは

どういうことか?

ネット検索をしてネット記事などを読むと、それと似通った記事を

検索結果の上位に出すようになっている。

これはネット記事とネット広告が連動するというビジネスモデルに

なっているからだ。

そうなると、同じような論調のネット記事ばかりを読むようになり、

意見が先鋭化する。

要は極端な意見になりやすい。

そして、それを是正する力が働きにくくなるのである。

かつてはこうしたプル型の情報取得ではなく、

プッシュ型がけっこうあった。

その代表的なものが新聞だ。

新聞は定期行動するというのはプル型だが、

中身はプッシュ型で、感心のない記事も見出しが目に入ってくる。

「関心のない記事が目に入ってくる」というのが大事で、

それによって興味関心が広がる。

そうして視野が広がると、物事を多角的に見られるようになる。

思い込んでいる事実とは違った側面も見えてくる。

これが思考を深堀りできることにつながっていく。

ネット記事だけを読んでいると、これがなかなかできない。

欧米では、これを避けるために「ノイズ」をネット検索に

入れ込む試みもなされているという。

その人がまったく興味のなさそうな検索結果が入るように

仕組みをつくっているのだという。

これによってフィルターバブルに閉じ込められるのだが、

そこにSNSが拍車をかけている。