貧しい日本のスポーツ環境

バレーボールの元日本代表、益子直美さんが

「監督が怒ってはいけない」バレーボールの大会を

主催している。もう5年になるという。

彼女自身、怒声を浴びせられて指導されたという。

結果、怒られないプレーをしようという思考になったと

語っているのだ。

一番ひどいのは野球の指導者。

世界でも日本は強いと思っているから、

他の国から学ぼうという頭がない。

大学時代に甲子園出場校出身の同期がいたが、

彼らが異口同音に言うのは、

理不尽な上下関係、伝統・しきたり、監督の殴る蹴る、だ。

その在り方に疑問を覚えて、大学の卒論は、

『学校スポーツがスポーツの大衆化と高度化に果たす役割』

をテーマとして書いた。

このとき、2、3学年下の大学生にアンケートを行ったが、

驚くことに体罰に一定の理解を示す人がけっこういた。

そういう人たちがいま40歳ぐらいになって、

指導の現場にいるわけだ。

だから暴力や暴言を背景とした指導法が再生産される。

嫌な思い出も時間がたつとよい思い出になるのか、

前述の名門校出身の彼らはまるで自分の武勇伝かのように、

理不尽な部活の在り方を、楽しそうに語る。

ちょっとどうかしていると思った。

日本のスポーツ環境は、砂利のグラウンドの上で、

指導者の暴言と暴力にさらされて行われている。

体は砂利のグランドで擦りむけ、暴力で痛み、

心は暴言で傷つけられている。

こんなにお金をたくさん持っている国なのに

なんと貧しいことだろう。

トップアスリートの中にも競技が嫌いになって

早々と引退してしまう人はいる。

今後、中学や高校の部活にも外部から指導者が入れる

ようになるだろうが、報酬を少し出す代わりに、

研修を受けた人でないとできないようにして、

ダメな指導者は排除できるようにするしかない。