史実と伝承

宮島では、その場に集まった人だけでグループになって
案内してもらう観光ガイドツアーに参加した。
参加したのは、中国人の若者を含め、私より少し年下の男性、
私と同じくらいの女性、年配の男性の5人。
ガイドの方は年配の女性だった。
その女性がいろいろなネタを織り交ぜて、
宮島がいかにときの権力者によって大事にしてもらってきたか
といったことや、自然の地形のことや、宮島で行われるイベントに
ついて解説してくれた。
そのときの解説はいろいろと情報満載で興味深かったのだが、
史実と伝承がいっしょくたになっていると思った。
後の人が、宮島を観光地化するために、後付けで加えた話なんかも
史実と一緒に紹介されていて、ちょっと混乱した。
史実は史実、伝承は伝承として別の言い方をしたほうが、
もっと想像力が膨らませられる気がした。
つまり、伝承なら伝承で、それがなぜ伝えられるに至ったのかを
想像することが、のちの世の文化を象徴することになるかも
しれないからだ。
「こういう言い伝えがある」という話も、それが出てきたのが、
江戸時代になってからの話かもしれない。
その背景には、そういう言い伝えが生まれる、当時の背景がある
からなのだ。
リアルな日本史と、講談の歴史とは別のものとして楽しまないと
いけないね。そして、「歴史から学ぶ」というときは、必ず
「リアルな日本史」から学ばないといけない。