死を想う

疲れた心と体に、はい、1本。
名言サプリ 其の239


君たちだってガンになることがある。
ガンになって、治療法がなくて、
あと半年の命だよと言われることがある。
そうしたら、あそこで咲いている桜が違って見えるだろう。
では桜が変わったのか。そうではない。
それは自分が変わったということに過ぎない。
「知る」というのはそういうことなのだ。
養老孟司


がんかもしれないと言われると、
自分の目の前に何かひとつの膜ができたように
感じるのだと話してくれた医師がいた。
ああ、ついに私もこっち側の人間になってしまった、
さっきまであっち側の人間だったのに……ということで、
見る目が変わったというのだ。
結局、それは良性の腫瘍であることがわかったのだが、
その途端、膜がすっと取り払われていったという。
死を意識するからそうなるんだろうね。
死を意識することで、自分が変化する。
自分が変化することの最も大きなことは、
死を意識することかもしれないね。
アメリカ人は「死ぬならがんがいい」という人が多いんだってね。
「がんだけが死ぬ時期を知らせてくれるから」といのだ。
それによって目が開かされて、最後になって貴重な人生訓を得る人もいる。
「がん患者が最後に得た教訓」をまとめて本にできないかなあ
と思っている。これこそメメント・モリ(死を想う)の最たるものだよね。
なんにせよ、人間ていうのは、死を目の前に突き付けられてみないと、
本当に目を見開いてみようとしないんだよな。
自分がそうだから、よくわかるのだけど。