オリオン座の左上に輝く恒星、ベテルギウスが晩年にあるという。
恒星としての命が尽きると、超新星爆発(スーパーノヴァ)を
起こして、宇宙の藻屑となる。
オリオン座がなくなるわけだ。
これまでにもいくつか超新星爆発は確認されている。
肉眼で観測できるものはこれまで7回あったらしい。
しかし、今回ベテルギウスが注目されているのは、
これまでのどの超新星爆発よりも近い、
地球から650光年の距離で観測できるからなのだ。
ベテルギウスが超新星爆発を起こすと、
月の100倍の明るさで数か月も輝くという。
過去に類を見ない天体ショーとなることは必至だ。
超新星爆発は、私たち生命の源とも大いに関係している。
恒星の光の源は、水素を燃料とする中心部で起こる核融合だ。
星の中心は水素でできており、これが結合してヘリウムができる。
水素が使いつくされると今度はヘリウム同士の核融合がおこる。
すると、酸素、炭素などの元素ができる。
中心部の温度が上がり、膨張して赤い星になる。
最後に鉄ができると、核融合は終わる。
すると、星は自らの重さを支えきれなくなり、潰れていく。
星の中心は高圧の状態になり、大爆発を起こす。
これが超新星爆発だ。
そのとき、鉄より重いさまざまな元素が合成され、宇宙に飛び散る。
私たちが「水平リーベ、ぼくのお舟……」といって覚えた元素記号で
示される元素は、超新星爆発によって生まれたものなのだ。
では、なぜこれらの元素が地球で見つかるのか。
爆発した星のかけらが長い時間をかけて再び集まったからだ。
つまり、地球は他の星が超新星爆発によってできた宇宙のチリの
寄せ集めでできたものなのだ。
それをもとに生命が生まれた。
爆発があったからこそ私たちは存在する。
私たちは生命の神秘を近い将来、目の当たりにするかもしれない。