台風土砂災害の一因

三重・和歌山を襲った台風による水害で、一部で床上浸水などの被害が
出た地域では、森林から流れてきた樹木が橋にひっかかり、
川の流れをせき止めたことによって氾濫が起こったことがわかった。
日本林業は人件費が高いため、高コスト体質になっており、
安い外材に価格で勝てない状況が続いてきた。
そのため、間伐しても利用できないため、間伐してそのまま森林に
置き去りにするという方法がとられてきた。
そうして森林内に放置された間伐樹木が降雨時に河川に
流れ出してしまったというわけだ。
近くの住民は家の中まで樹木が流れてきて怖かったと証言している。
現在では、森の外に搬出された間伐材のみに補助金が支払われるように
なっており、徐々に国産の自給率も上がってきている。
広葉樹のほうが、森林内の土壌流出を防ぐ効果が高いことが
わかっており、人工林として針葉樹を植えていたところに
広葉樹が植えられるケースも増えてきているという。
今後は人口も減っていくことだし、将来需要を予測しながら、
災害が予想される付近の森林には広葉樹を植え、
搬出しやすい場所には針葉樹を植えて、効率的な林業を進める
という、森林の将来像を国家的に定めて戦略を打ち出していく
ことが必要となる。
今回は土砂災害といえども、人災の側面が少なからずあるということだ。
何が防げて、何が防げないのか、よく見極める必要がある。