『お米は生きている』

『お米は生きている』は富山和子さんという評論家による本だが、
この方は他にも『森は生きている』『川は生きている』といった本も
執筆しており、自然環境全般に詳しい方であるようだ。
そもそも米の本を企画したいと某出版社の編集者に話したところ、
この本を紹介された。
なるほど、お米に関することが、環境の面からも、食文化の面からも
平易な言葉で書かれていてたいへん読みやすい。
というのも小学生ぐらいの児童を対象に書かれた本だからだが、
これは大人が読んでもふ〜んと思える内容だと思う。
ぼく自身、お米が大好きなのだけど、米に関してはあまりにも無知だ。
ただ食べているだけで、そのほかのことはあまり知らない。
せいぜい日本では減反が進んで、耕作放棄地も増え、稲作農家が
窮地に立たされていることをニュースで伝え聞くぐらいだ。
弥生時代以来、日本人が稲作とどうかかわってきたか、
日本文化にどういう影響を与えてきたかを知らなければ、
「やっぱ米は自分に国でつくらないとね」と思えない。
「安いとこから買ってくればいいじゃん」では話は済まないのだ。
なくても死ぬことはない電化製品と
なければすぐに死に直結する食物との違いはここにある。
そして、単に食糧としての役割だけではない重みが稲作にはある。
そこにやりがいを見出して参入する人も多いわけだけど、
稲作の農政っていうのは、知れば知るほど苦しい状況なのがわかる。
なんとかならんもんかと、さらに問題意識を強く持った読後でした。