役者やのう

パッと気安い冗談を言えるようになりたい。
気安い冗談に、気安い冗談を返せるようになりたい。


事務所にはいつも夕方に佐川急便さんのお兄さんがやってくる。
ある日、事務所で菓子パンや惣菜パンを撮影しなければならない
ことがあり、撮影後のパンが大量に残った。


夕方、佐川のお兄さんがやってきた。いつもの時間だ。
「おお、ちょうどいいところに来た。パン、もって帰ってよ」
「え、いいんですか」
「いいよ、いいよ、たくさんもってってよ」
「腹をすかせたヤツがたくさんいるんですよ。
こんなにたくさんいいんですか?」
そこで、うちの事務所の人間が一言。
「重かったら、ヤマトさんに送ってもらったらいいよ」
兄ちゃんも負けてはいない。
「だったら、うちで運びますよ。740円いただきます!」


役者やのう


事務所は一時、笑いで満たされた。
日常はこうでなくてはいけない。