黒澤明の言葉 

自分がライターという生業をやっていく中で、強く心に留めている言葉がある。
それは、映画『生きる』のDVDに収録されていた、この映画の監督である
黒澤明氏のインタビューでの言葉だ。
「自分から意図してこうしてやろうとか、
高飛車につくったらお客は逃げていっちゃうんだ。
大衆に教えてやろうなんてとんでもないことだ。
そうではなく、自分も苦しいんだということを
そのまま吐露すれば、お客はスッと理解する。
それがあれば、どんな悲劇でもお客は映画館を出るときに、
ある主の感動をもって帰ると思う」
それまで自分が漠然と思っていたことでもあっただけに、
「同じこと考えていたんだな」と思って嬉しかった。
ものをつくるというときの心得について確信できた。
長くやればやるほど、お客様のためと言いながら、
本当は自分のためになっていることが多くなる。
自分のつくりたいものをつくるのは、お客様に失礼だし、
本当にいいものはできない。
お客さんが何を求めているのかを考えつつも、
教えてやろうなんていう思い上がった姿勢にならない。
こうしたバランスの上でこれからも仕事したい。