「天国と地獄」

黒澤明監督作品の「天国と地獄」を見た。
これって、格差問題の話なんですね。
まさに今にぴったりの映画。
ざっくりいうと、貧乏人が金持ちを逆恨みして、
金持ちの子どもを誘拐して身代金を要求するけど、
金持ちはその金を払ったことで会社の地位を奪われる
けど、雄々しく人生を生き抜こうとするという話。
「悪いやつほどよく眠る」では
「金持ち」=悪の構図を描いたのだが、そういう認識が
社会に浸透したのを毛嫌いしたのか、その次の現代劇として
黒澤監督はこういう映画をつくった。
人間の本質というのは、金持ちか貧乏かで決まるはずはなく、
どんな環境にあっても、与えられた条件の中で
精一杯生きようとする姿が人間の一番崇高なものだ。
自らの不遇を時代や環境のせいにして努力を怠り、
他人をうらやみ、妬む滑稽さを描いている。
この映画は、金銭の豊かさ、貧しさではなく、
心の豊かさと貧しさを描いている。
心の豊かなものが、人生を豊かに過ごしている者であって、
金銭の豊かさだけでは、人生を豊かに過ごすことはできない。
こんな映画こそ、いま見てみるべき映画だ。
偶然だったけど、とてもいい映画を見たという気がした。