相談は人を選んで

出版の世界で働いていると、雑誌の廃刊には
たまに出くわす。
自分が書いている雑誌であるときもある。
先日もそんなことがあり、編集者から相談を受けた。
休刊する雑誌に残ってくれと言われていて、
いくらかの報酬も得られるが、それだと将来が不透明。
いま完全に独立するかどうかで悩んでいるというのだ。
独立の相談は、相談する人を選ばないと誘導される。
彼が別の出版社の社員に相談すると、
「固定給はあったほうがいい」と組織に残ることを
勧められるという。
それはそうだろう。彼らは組織の人間で、それをよしと
して生きてきたわけだから。
そこで「完全に独立したほうがいい」といったら、
自分の生き方を否定することになる。
だから私は「もう退路を断って独立したほうがいい」と
言ってみた。だって、自分がそうしたからね。
独立してみて、ほぼいいことだらけだった。
私の場合、誰にも相談しなかった。
ほとんど事後報告のような形で、
「独立しようと思うけど、どう思う?」
と妻に相談したぐらいだった。
相談する人を選ばないと、意図しない答えが返ってくる
ということだ。それで影響されないのなら、相談しなくても
自分で答えが出せるだろう。
どっちにせよ、最後は自分で決めないといけないのだから。