スポーツは平和に利用してよいが……

こんな話は聞いたことがない。
卓球の世界選手権の準決勝が思わぬ事態になった。
なんと準々決勝に進んだ韓国と北朝鮮のチームが
「戦いたくない」と合同チームの結成を連盟に申し入れ、
連盟もこれを受け入れてしまった。
準決勝は日本と統一朝鮮のチームが戦った。
これによって合同チームは体力を温存できるし、
日本チームはどの選手が出てくるか的が絞れなくなった。
大会途中でこういうやり方はいただけない。
そもそもスポーツというのは、戦ってこそ
友好が深まるのだから、南北朝鮮で戦うべきだった。
スポーツと政治は切り離すべきだというが、
私はそうは思わない。
ただし、条件がある。
スポーツ→政治という働きかけはOKだ。
スポーツによって平和のきっかけづくりをする。
中国のピンポン外交とか、政治的に争っている国同士が
スポーツで戦って友好を深め、結果、平和がもたらされるなら
とてもいいことだ。
平和のためならスポーツだってなんだって利用するべき。
なぜなら平和があってこそスポーツができるからだ。
長く平和な状態が続くとそこを忘れてしまう。
ダメなのは、政治→スポーツの働きかけだ。
政治的に仲が悪いからスポーツの大会に出ないとか、
政治が特定のスポーツを保護するのはNGだ。
これは政教分離と考え方は同じだ。
宗教→政治はOKだが、政治→宗教はNGということ。
スポーツ→政治という働きかけはOKだから、
合同チーム結成は本来いいことのはずだ。
それによって国民感情がよくなり、両国が仲良くなればいい。
しかし、それはスポーツの公平性が保たれることが前提だ。
そのためにルールがある。
私たちがスポーツを見るのは、ルールの上では公平だからだ。
これは経済活動や政治にはないこと。
そのルールは、明文化されていないこともあるが、
それは当たり前のことだから文章になっていないだけのこと。
特定の誰かが得をしないように暗黙の了解というのがある。
今回の出来事は、ルールブックに書いていなかっただろう。
今回は大会の前に合同チームを結成すべきだった。
それならすべて丸く収まった。
これで卓球の世界はかなり信用を失ったはずだ。