お菊とお岩

この季節になると、怪談の話題が多くなる。
怪談といえば、お岩さんとお菊さん。
このふたりを混同している人がいる。
そう、ぼくだ。
これごっちゃになっている人多いんじゃないか。
これは一回整理しておいたほうがいい。
テストに出るかもしれないしね。
両名には悪いが、さらっと復習しておこう。
お岩さんは、江戸時代の「四谷怪談」。
お岩は、浪人の伊右衛門と結婚させられる。
ところが、近くに住んでいた喜兵衛という男が、
伊右衛門を孫娘の婿にと考えるようになる。
喜兵衛の入れ知恵で、伊右衛門は妻のお岩の食事に
毒を盛るようになる。
そのせいで、お岩の顔が醜くただれていく。
……とか、もともとお岩は天然痘を患っていてとか、
いろいろバリエーションがある。
一方のお菊のほうは、「播州皿屋敷」。
昔、番町に青山鉄山という御武家の屋敷があった。
そこに腰元のお菊がいた。
お菊には夫がいたが、鉄山はお菊さんに横恋慕する。
願いが叶わない鉄山は逆恨みする。
お菊に10枚組の葵の皿を預けるといって、1枚だけ隠した。
そして皿が一枚足りないことを理由に、
お菊を問い詰め、井戸に吊しせっかんした。
最終的に斬り殺して、そのまま井戸に投げ込んだ。
ということで、お岩は「うらめしや〜」、お菊は「1枚、2枚……」
といって幽霊になって出るというわけ。
四谷怪談は東京の四ツ谷で、皿屋敷は姫路の話。
いまの姫路城内には「お菊井戸」がある。
この二つの話を他人に話すときには、
混同しないようにしないと彼女らの祟りがあるとかないとか、
ないとかあるとか言われている。