訴えられないように必死

妻が脾臓の破裂で入院したとき、何枚ものサインを書かされた。
今の病院は訴えらえないようにいろんな対策がしてある。
まず、「大丈夫です」なんてことは絶対に言わない。
あとで、「大丈夫だと言ったじゃないか」と言われるからね。
だいたい悲観論で話をしてくる。
だから、私も最初にその話を聞いたときは、血の気がひいた。
まだ小さい3人の子をかかえて父子家庭になった姿が脳裏をよぎった。
担当主治医は20代半ばの若い先生で、説明をしてくれたあと、
私にサインを要請した。サインは処置の前が多かった。
最初は輸血の同意からはじまって、呼吸器をつけること、
麻酔を打つこと、カテーテルを挿入することなど、
やることなすことにサインが求められた。
何かやるには必ず多少のリスクは伴うことはわかっていたが、
それを吟味する時間は到底なかったから、ホイホイとサインした。
いまの病院はこういうのが大変だなと思った。
偉そうで、横柄で、高圧的で、勘違いしている医者がいる一方で、
現場で真摯に人の命を救っている医者もいる。
大変だけど、訴えられるリスクと戦いながら、ぜひがんばってほしいと
今回担当してくれた若い主治医にはエールを送りたい気持ちになった。