気になる言い回し

言葉を生業としているから、気になる日本語がよくある。
前々から気になっているのが、「させていただきます」だ。
本来、「させていただく」というのは、
相手の許しを得たうえで、「やらせてもらう」という意味がある。
でも、いまはなんでも「させていただきます」だ。
たとえば、「駅の構内を借りて、そば店をやらせていただいています」
というのなら、駅側に許しを得ている構図だからOKだ。
しかし、これが
「ビジネス街の店舗でおにぎりを販売させていただいています」
だったら話は違う。
おにぎりを売るのは、店主の勝手であり、誰の許可もいらない。
許しや了解を得るものについてだけ、
「させていただいています」というべきであって、
それ以外のシーンでは蛇足だ。
誰かの許しを得ているようなものの言い方は、
クレームをつけられないための口癖のようにも思える。
いまはすぐにクレームがくるからね。
言葉は時代を映す鏡とはよくいったものだ。