NHKの「スーパープレゼンテーション」は、
ダニエル・ピンクという米国のベストセラー作家によるものだった。
これがかなりおもしろかった。
「成功報酬はときに毒になる」という内容なのだ。
クリエイティビティを発揮する場合には、成功報酬を多くするほど、
いいアイデアが出なくなるという。
それを有名な実験で論証していく。
机の上に、ローソクと、箱に入った画鋲、マッチがある。
このローソクを、ロウが机にたれないように壁に取り付けるには
どうしたらいいかという問題がある。
正解は、画鋲の入った箱を画鋲で壁に取り付け、
そこにローソクを立てるという方法だ。
この問題を、成功報酬を用意した場合と、しなかった場合で比べた。
結果は、用意しなかったグループのほうが早い時間で解けた。
逆に、画鋲が箱から出た状態の絵を見せられた実験では、
報酬のあるグループが圧勝だったという。
どういうことか?
クリエイティブで柔軟な発想をしようというときに、
報酬のことが頭にあると視野が狭くなり、自由な考えができなくなる。
逆に、誰でもわかる問題を瞬時に解く場合には、
報酬という動機が効果を発揮するというのだ。
この結果はとても面白い。
報酬による動機付けは、機械的でルーチンワークにのみ効果を発揮する
のであって、クリエイティビティが求められるときには
逆効果になるというのである。
ダニエル・ピンクは、商習慣と科学的事実に格差があることを指摘する。
曰く、動機には内発的動機と外発的動機があって、
クリエティビティが求められるときには、内発的動機が外発的動機に
圧勝する、私たちは内発的動機によって仕事をするべきだというのだ。
内発的動機とは何を指すか。
「たのしいからやる」「やりたいからやる」ということ。
昨今問題になっている、体罰の問題なんか完全にこの話に当てはまる。
「怒られないように」という外発的動機では、クリエイティビティが
求められるスポーツの対戦では勝てないということ。
自分で気づいて、自分で勝ちたいから練習する、研究する
という内発的動機で動いてこそ、身につくし、効率的だということだ。
子どもの教育にもまったく当てはまる話なので、
家庭教育でも生かしていきたい話だった。