日本の昔ばなしの良さ

いまテレビ東京系列で、「ふるさと再生 日本の昔ばなし」
が放送されている。
「ぼうやー、いい子で寝んねしなー」で始まる日本むかしばなしは
TBS系列だったが、それとは関係ない。
子どもに見せたくて前から気になっていたので、ちょっと見てみた。
「三枚のお札」のお話。
「三枚のお札」は、寺の子坊主がクリ拾いに行った帰りに
道に迷い、ばあさんのところに泊めてもらうことになるのだが、
そのばあさんは実は山姥で、食べられそうになるところを
三枚のお札を使って、命からがら逃げるという話だ。
変なふうに改変されていないか気になってはいたが、
予想は的中した。
今回のバージョンでは、寺の子坊主がクリ拾いにいって、
あたりが暗くなると、いきなり山姥がそのまま山姥として登場する。
夜中に包丁を研ぐ音で子坊主が目を覚ますという
戦慄のシーンがまったく欠如しているのだ。
そして、最終的には、子坊主が所属する寺の住職が山姥に
「なんでもできるなら、豆粒大に小さくなることができるか」と
問い、豆粒大になったところで、山姥をモチにくるんで食べてしまう。
ところが、今回のバージョンでは、住職が念仏を唱えただけで、
山姥は、「今日はこれくらいにしといたるわ」と、
池乃めだか的な捨て台詞を吐いて、あっけなく去っていく。
この話は山姥の怖さがメーンなのに、それが全然伝わってこない。
また、「うさぎとカメ」の話では、途中までは普通に話は進むのに、
最後、眠りから覚めたうさぎはカメを逆転してしまい、
ゴール前のモグラの穴に足を取られて、カメに先にゴールされてしまう。
これでは、うさぎが油断して昼寝したことの印象が薄くなってしまい、
うさぎが単に不運だったという話になってしまう。
物語の解釈はそれぞれで結構だが、
こういう昔話が、なぜ現代にも語り継がれているのか、
作り手はよくよく考えてほしいと思った。
安直なおもしろ話にするのではなく、印象に残る物語に仕立ててほしい。
いいお話も中にはあるので、ものを選んで子どもには見せようと思います。