そんな話だったの?「耳なし芳一」

子どもと一緒にスタンダードな世界のお話を改めて
鑑賞する「そんな話だったの?」の第なんかい目かのお話は
耳なし芳一でございます。
耳なし芳一といえば、全身にお経を書かれたお坊さんの話ですね。
恥ずかしながら、私、なんで芳一さんがお経を書かれたのか
知りませんでした。
ある寺に、盲目の芳一というお坊さんがいました。
この芳一は琵琶の名手で、平家物語を弾き語るのが得意でした。
あるときそこへ、平家の落ち武者がやってきて、
「家のものどもに聞かせてやってくれ。
ただし、このことは他言してはならぬ」といい、
落ち武者の住む部落に連れて行かれる。
そこは平家の落ち武者たちが逃れた末に拓いた部落だった。
そこへ毎夜、芳一は平家物語を弾き語りに行く。
変に思った住職は、芳一に問いただすが、
「言えない」の一点張り。
そこで住職は他のお坊さんに、夜、芳一のあとをつけさせた。
すると、雨の中、芳一は墓の前で琵琶を弾くのだった。
そうです。芳一は目が見えなかったので、落ち武者の霊に
毎夜、墓に連れていかれていたのでした。
仲間のお坊さんは芳一を引きずって帰った。
そして、次の夜、住職はある用事があって夜出かけなければ
ならなかった。次に霊と会話すれば、必ず命を落とすと思った
住職は芳一の体中にお経を書き込みました。
そうすれば、霊からは芳一の姿は見えないだろうというのです。
夜、霊がやってきて、芳一はどこだどこだと探して歩きます。
暗闇に耳だけが浮かび上がっていました。
「芳一をたずねた証拠に耳をもらっていく」
と霊は芳一の耳を引きちぎってしまいました。
住職はいいます。
「すまぬ、芳一よ、わしが耳にお経を書き忘れたばっかりに」
それからというもの、芳一は耳なし芳一と呼ばれ、琵琶の名手と
しての名声が格段に高まっていったという。


どうです、こわいでしょう。
5歳の長女はわけがわからないなりに、怖がっていました。
この話に教訓めいたものはないのだけど、
ひとついえるとすれば、芳一さんの優しさかな。
知ってるようで知らない話がまだまだたくさんあるんですね