生に触れてみる

スマホが出てからだ。
取材時に話が中断されるようなったのは。
取材対象者でスマホをすぐ脇に置いて話をする人がいる。
話しているときに、ポーンとスマホが音を立てることがある。
それで話が分断されてしまうことがある。
ガラケーの時代はそんなことはなかった。
まれに電話に出る人はいたが、それ以外は不快に思ったことはない。
でも最近はスマホでそういうことが頻繁にある。
飲んでいる席でしきりにスマホをいじる人も多い。
親しい編集者さんもスマホに替えたおかげで、
読書時間が激減したといっている。
電車内の読書人口が減って、もっと本は読まれなくなるだろう。
自分もどうせいつかはスマホをもつと思うが、
よくよく考えて使わなければと思う。
朝起きて、テレビ見て、電車でスマホやって、会社でパソコンやって、
また電車でスマホやって、テレビ見てという生活だと、
起きている時間の9割を四角い画面を見て過ごすことになる。
こんな生活は絶対に嫌だ。
だけど、自然にそうなる可能性がある。
私たちはそんな四角いモニターばかりじゃなく、
妻や夫、子ども、友達、上司、同僚の顔を見たほうがいいんじゃないのか。
山や川へ行って、緑を見て、風を感じ、水の冷たさを感じたほうが
いいんじゃないのか。
スタジアムにいって野球やサッカーやラグビーを見たり、
歌手の生の歌声を聞いたほうがよくないか。
植物や動物を触って、においや体温を感じたほうがよくないか。
最近、妻や夫の手を握ったか。
子どもに本を読んでやったか。
実際に人と接して、怒ったり、泣いたり、笑ったりしたか。
これらのことをすべてモニターで見聞きして、
自分が経験したような気になってはいないか。
ときどきそう自分に問いかけている。