名作「かにむかし」

子どもが「かにむかし」の絵本を幼稚園から借りてきた。
要はさるかに合戦である。
このさるかに合戦も例にもれず、さまざまなバリエーションがある。
本作は木下順二作である。「夕鶴」を書いた作家界の巨匠だ。
「かにむかし」では、仇を討つ子カニたちの援軍として、
栗、牛糞、蜂、ハゼ棒、石臼といった面々が擬人化されて登場する。
そして、桃太郎よろしく以下のやり取りをして仲間になっていく。


「かにどん かにどん どこへいく」
「さるの ばんばへ あだうちに」
「こしに つけとるのは、そら なんだ」
「にっぽんいちの きびだんご」
「いっちょ くだはり、なかまに なろう」
「なかまに なるなら やろうたい」


栗、栗、牛糞、蜂、ハゼ棒と順に同じやり取りをして
仲間になっていくのだが、なぜか石臼のときだけ


またれいのもんどうをしてなかまになった


とだけさらっと書かれている。
私は笑った。
なんでそこだけ先を急いだのか。
わからん。
最後は石臼がサルの背中にドーンと落ちてくる絵で終わる。
カニは青い柿の実でぺしゃんこになった。
同じ方法で親カニの仇を取ったというところが、
このさるかに合戦のみそなんだよね。
もし作者が生きてたら、
「またれいのもんどうをして」
のくだりの理由を聞いてみたい。