「ヒューゴの不思議な発明」

ヒューゴという少年が父の形見である、ぜんまい仕掛けの人形を
修理しようと画策していると、ある謎に出合う。
その謎を追っていくうちに、ある老人の秘密にたどり着いてしまうという話。
この映画は監督のスコセッシが、映画草創期に活躍したSF監督である
メリエスへのオマージュとして制作したという。
作品のいたるところに、映画への思い入れが見られる。
映画というのはすばらしいものだ
そういうメッセージをひしひし感じる。
話も意外性があって、飽きさせない展開だった。
ただし、ヒューゴという少年は何も発明していないし、
ただの機械好きの少年だ。
でもその少年の好奇心がずっと育っていくと、
メリエスのような一時代を築くことができるってことなんだろう。
時代が変わって、自分が追い求めていたものが必要とされなくなる
無力感は伝わってきた。
それにしても、メリエスはなぜ映画が出てきたとき、すぐにそれに反応したのに
戦争を経たあとも作風を変えなかったのかなと思う。
でもそれは単純に見ておもしろいものをつくりたかったのかなと思う。
元は手品師だからたぶんそうだったのだろう。
思えば私たちも映画を見ると、すぐにテーマだの、メッセージ性だのを
論じてしまう。けど、単純に見ておもしろいのが映画でもある。
映画のおもしろさの原点を知らされたような気がした一本だった。