ごくたまに外で昼食を食べることがある。
その日は中華屋さんでラーメンと半チャーハンという、
得意の「ダブル炭水化物」でお腹を満たそうとした。
そこへ、40〜50代後半のサラリーマンが入ってきた。
円卓に私と彼ら4人が陣取る。
どう見たっておかしな相席だ。
彼らが仕事の話を切り出す。
敵もさるもの、心得たもの。
社外秘的なことはいっさい口にしない。
だが、「ジブラルタなんかはうんぬん」というのだけは聴き逃さなかった。
彼らも同じ業界だろうから、保険会社の社員たちなのだろう。
やれ支店がどうの、やれ肩書きがどうのと話し合っている。
彼らは、「この10年でほんと変わったよなあ」とため息を漏らしていた。
私も心の中で頷く。
でも、変わらないものもある。
子どもを遊園地や動物園、ショッピングストアーに連れていくと、
よくある1コインでグイーンと動く、車や電車の乗り物を模した
遊具がある。
4歳の娘はどんなにipadやNHKの「わくわくさん」が好きでも、
こういう乗り物にも目がない。
昔ながらのバッテリカーなんかも大好きだ。
ある動物園には、20年前から時が止まったような、これらの遊具が
置いてあったが、子どもたちでごった返していた。
世の中は変わっても子どもたちは相変わらず、乗り物が好きなのだ。
いまの子どもたちはマセているとか、こまっしゃくれているなんて
声も聞くけど、本当かなと思う。
彼らの根本は変わっていなくて、むしろ変わったのは大人のほうかも。
中華屋の保険会社社員と同じように、変わらざるを得なかった人のほうが
多かっただろう。
変わるのは大人になってからでも遅くはない。