名月

中秋の名月である。
暦の上ではもう秋も中頃だというのに、暑いったらない。
でも、月は関係なく空に輝く。
中秋の名月は必ずしも満月になるとは限らないのだが、
今年は6年ぶりに満月になるという。
戦後まもなくぐらいまでは月見の文化があったらしく、
どこの家でもススキで飾って、団子を食べたらしい。
昔は花見よりも月見のほうが庶民に定着したイベントだったそうな。
でもなぜか月見はすたれてしまった。
思うに、街灯で夜が明るくなってしまったために、月明かりを体感できる
場面が減ってしまい、そのゆえに月の明るさ、美しさも意識しなけば
実感できなくなってしまったのではないか。
昔の人の月見への思い入れを知る、よいネタがある。
銀閣寺(慈照寺)は月見を楽しむための館だったことが、
最近の研究で明らかになってきた。
銀閣寺は足利義政が別荘として建てたもので、
東から登って西の空に向かって移動するに従って、
1階から2階へと移動し、池に映った月を楽しむという、
何とも粋な月見をしていたというのだ。
節電もよいけど、中秋の名月の日には街を暗くするなんて習慣が
できたら、外国人も喜んで観光に来てくれるのではないかなと思う。