防げるものと防げないものの違い

台風被害で奈良・和歌山で甚大な被害が出ている。
今年の台風はなぜか、強くて大きいわりに速度が遅く、そのぶん
被害も大きくなっているように思われる。
土砂崩れによって民家が流され、数十人の死者が出ている。
水害について語られるとき、「日本の荒廃した森林」が取りざたされる
のだけど、間伐が進んでいないだけで、荒廃しているとは言いすぎだ。
日本で起きる土砂崩れのいくらかは、人工林として植林された針葉樹が
多いことや、その針葉樹が間伐されないことによるものとされている。
針葉樹は広葉樹に比べて根を浅いところまでしか張らない。
しかも間伐されないでいると、森林内の地面に光が届かないから
植物が届かず、降った雨が地面を穿つ。
そうなると、土が流されやすくなり土砂となるというのだ。
しかし、今回、専門家の見方によれば、表土の問題ではなく、
もっと深い所で崩壊が起きていたらしい。
それが「深層崩壊」という言葉で説明されていた。
表土よりももっと奥のところか崩れたわけだ。
東日本大震災のときにも思ったのだけど、「防げる災害」と「防げない災害」
をきちんと区別するべきと思う。
間伐が問題なら防げるかもしれないが、深層崩壊は防げない災害でしょう。
起こりうる災害について、何が防げて何が防げないのか、謙虚な姿勢で、
改めて検証してみる必要があると思う。