奥深い製鉄の文化

度々このブログに登場している友人Fとひょんなことから
踏鞴(たたら)製鉄の話になった。
彼が1.5億円の借金がある人から聞いた話によると、
「ドジョウすくい」の「ドジョウ」とは生物のドジョウではなく、
「土壌」なのだというのである。
土壌をすくって川から砂鉄を取り出していた形態を
後年になって「ドジョウ」として生物を生け捕りにするものに
変えて、踊りとしたのだという。
ネットで調べたら、確かにそんなことが書いてある。
1.5億円の借金がある人の話だから、信用しないわけではないが、
にわかには信じられない話である。
砂鉄を採取して、たたら場で火を炊き、ふいごを使って空気を送り込み、
砂鉄を熱して鉄をつくっていた。「もののけ姫」の世界である。
薪は山陰の山々から切り出した。山陰は薪の供給源だった。
このふいごは足で踏むもので、かなりの重労働だったらしく、
男性の仕事だった。その役目を番子といった。
それでも疲れると交代しなければならかった。
そこで生まれた言葉が「かわりばんこ」という言葉だという。
どうやらこれは本当っぽい。
たたら場は、山陰地方に多くあったという。
安価な鉄が入手しやすかった岡山の備前長船では刀鍛冶の技術が発達した。
現存する日本刀の多くは長船産だという。
江戸時代になると、その技術は農機具に生かされた。
備中藩の山田方谷が備中グワという鍬を発明して、江戸時代に大ヒット。
藩の財政を助けたという。
現代では刀鍛冶の技術は、美術工芸品としての日本刀と、包丁など
刃物の文化へと継承されていった。
調べていくと、なかなかおもしろいことがわかるものである。
文化というものはかように奥深いものなのである。