「ハートロッカー」

マイレージ、マイライフ」とともにアカデミー賞で話題に
なった作品であります。
この作品の監督は、アバタージェームズ・キャメロン監督の
元妻だったと思う(たしか)。
イラクアメリカ兵の話。しかも爆弾処理班である。
世の中の職業のうち、爆弾処理だけは仕事にしたくない。
でも、誰かがやらなければならないから、誰かがやる。
主人公は、873個の爆弾を処理している。
ちょっと狂気も交じっている。
子どももいて、待ってくれている妻もいる。
なんで彼が狂気も交じって爆弾処理をするのか、
理由がわからない。
本人もわからないという。
爆弾って思っていたら、やっていられないだろう。
自分で自分の感覚を麻痺させて、爆弾を金庫破りかなんかの
作業と思ってやっているのかもしれない。
全編を貫く緊張感はなかなかハンパないものがある。
時に冗長と思えるシーンが、緊張感を否応なく煽っている。
誰が何のために爆弾をしかけるのかとか、誰のために爆弾を処理する
なんてことはいっさい語られない。
ただ、男たちが爆弾を処理するのみ。
彼らはチームで動くが、戦友なんて感傷的な感情はいっさいなく、
修羅場をくぐりぬけることで結束もしない。
殺伐としていて、乾ききっている。
砂漠から感じる空気も乾いていれば、人間も乾いている。
むなしい現実だけが、そこにあるという感じの映画です。
本来は主人公の動機づけが見いだせないと、感情移入できないから
映画に入り込めないのだけど、爆弾処理の緊張感だけで引きつけられた。
いろんな映画があってよくて、
これはこれでなかなかいい映画でした。