「ゼロの焦点」

映画「ゼロの焦点」は松本清張作品の映画化である。
砂の器、点と線、Dの複合と小説は読んでいて、
この「ゼロの焦点」も読んだつもりだったが、どうやら
読んでいなかったらしい。
広末涼子が主演しているのだけど、準主演の中谷美紀こそが
この映画の主役ではないかと思わせるほどの存在感を放っていた。
いつも松本清張の作品には圧倒されますね。
ものすごく綿密に練られた構成で、一部の隙もない。
原作を読んでないけど、たぶん映画もその凄みを消化しきれてないと
思う。3時間半ぐらいないと清張の作品は表現しきれないだろう。
今回も時代背景が人物の行動に深い影を落としている。
時代によってそうせざるをえない部分と、人間としての自己愛、
エゴによる部分とが、絶妙に織り交ぜられた登場人物たちは
誰も彼もなかなか魅力的だ。
時間ができたら小説のほうも読んでみることにする。