樽の中に住む人

疲れた心と体に、はい、1本。
名言サプリ 其の84


なんでもしてくれるなら、そこをちょっとどいてくれ。
日が当たらないのだ

byディオゲネス


ギリシャディオゲネスという人がいた。
彼は樽の中に住んでいて、ゴロゴロ転がって移動した。
天気のいい日は樽から抜け出し、日向ぼっこをするだけの毎日。
究極のシンプルライフを実践した人だ。
そこへアレクサンドロス大王がやってきて言った。
「みながお前を無欲であり、『しあわせ』だと呼ぶが本当か? 
欲しいものがあればなんでもやるぞ?」
そこでディオゲネスがいったのがこの言葉だ。
実際の会話では、大王の言葉はもっと丁寧なものだったみたいだけどね。
樽を知るじゃなかった、足るを知る人だったのね、ディオゲネスさん。
アレクサンドロス大王は世界征服を夢見て、広大な領地を得た。
その一方でディオゲネスの持ち物といえば、樽だけだった。
彼はそれだけで十分だった。
彼は十分な考えがあってそうした生活に行き着いていた。
あえて自分でそうした人生を送ったわけだ。
アレクサンドロス大王は言った。
「その言葉を胸にとどめていよう。だが、今は行かねばならん」
私も胸の片隅にもっていよう。でもいまは樽では暮らせない。