野球は芝生の上でするものです

先日、芝生化の話を書きましたね。
芝生を巡って、大阪で事件が起こりました。
大阪の岸和田の中学校で、野球部員の保護者数十人が重機を使って、
グラウンドの芝生を剥がしてしまったのです。
芝のグラウンドはデコボコでイレギュラーするからというので、
保護者が学校に相談し、その部分に土を入れることで合意したという。
そのあとに起こったのがこの事件だった。
芝うんぬんは抜きにして、学校の施設を、学校の許可なく、
しかも「数十人」が「重機」を使ってやったということに素直に驚く。
それはひとまず置いておいて、じゃあ、野球は芝生の上でできないか
というとそんなことはない。
アメリカを見れば一目瞭然。当地ではほとんどが内野も外野も天然芝だ。
かつては人工芝も多かったが、ここ20年でどんどん変わって
ほとんど天然芝になった。
でこぼこになったら土を入れる。
土を入れた箇所はいつまでも土のままではなく、
やがて芝に覆われて平らになる。
イレギュラーするからといって内野の芝生が問題になったという
話は聞いたことがない。
それに、土のグラウンドでもイレギュラーはする。
どんなに手入れしてもイレギュラーは出る。
それは屋外でやるスポーツには必ずある、自然条件との闘いの一つなのだ。
なぜか、日本の野球は、泥にまみれてやるのがよしとされている。
「泥臭いプレー」という表現が、肯定的に使われているのからも
それがみてとれる。
でも、アメリカから入ってきた野球だから、日本の球場もアメリカを
模範にしており、かつては内野も外野も芝生だった。
ところが、日本は雨が多く管理に手がかかるなどの理由で
土のグラウンドが主流になった。
その象徴が甲子園球場だ。
あそこで毎年夏に行なわれる大騒ぎを見ると、
「野球」と「泥だらけ」と「青春」がセットになっており、
泥だらけにならなければ、野球じゃないような雰囲気を醸成している。
野球をやったことがある人ならわかるが、土のグラウンドも整備に手間が
かかる。常にトンボで平らにする必要があるし、土ぼこりが
舞い上がらないように水をまく必要もある。
一日試合をすると、頭皮から鼻の穴から耳の穴まで、
土ぼこりで真っ黒になる。
土の芝も一長一短あるが、頭からダイビングしても、滑り込んでも
痛くないのは芝生のほうであり、思い切り体を動かせるという意味で
芝生に軍配を上げたいと思う。
広島の新球場は内野が天然芝になった。
人工芝でダイビングするとケガをするからやるなと言われている
プロ野球の選手たち。ダイナミックなプレーに感動するのにね。
甲子園球場が変わったら、すべてが変わるような気がする。
もちろん、校庭は野球だけのものではない。
サッカーやラグビーならなおさら芝のほうが良いに決まっている。
芝生のグラウンドが気持ちいいということをわかってもらうには、
実際に芝生の上で体を動かしてもらうのが一番だと思う。
件の中学校の保護者にもそれは必ず伝わると思うのだが、
推移をしばらく見守ってみたい。