丸坊主になった梅の木

住んでいるマンションでは、住民が月に1度集まって
庭木の手入れや草むしりをしている。
この集まりには皆勤賞で出席しているのだが、引越し前の最後と
いうことになった先日、残念なことになった。
庭木の一つに梅の木がある。5本ぐらいある。
樹高は6メートルぐらいにはなっていたか。
たぶん、20年は経過している。
私は前日からこの梅の木を剪定する情報を摑んでいたので、
事前に剪定のやり方をネットで予習しておいた。
主体になる幹は切らずに、下に向かって伸びているサブ的な
枝を切り落としていけば、木は元気になると書いてあった。
住民10人ほどが日曜の午前9時に集まり、剪定が始まった。
私は前日予習したように枝を少しずつ切っていった。
すると、別の住人が、そのまた別の住人の指示を受けて、
バッサバッサと太くて、健康そうな枝も切り落としていった。
主体になる幹の部分もバッサリやられた。
剪定というより、限りなく伐採に近い。
一つの木には太い幹と、数本の枝が残されるのみとなった。
こんなはずではなかった。
元気のいい枝は切らずに、形を整えてやろうとしたのに、
別の勢力の圧力によって、それはかなわなかった。
私のような最も新参者には、口出しするのははばかられた。
無残に丸坊主になった梅の木が不憫であった。
本人もこんなずではなかっただろう。
住居の周りに草木があるのはいいことだと思うのだが、
落ち葉が大変だという理由で邪魔者扱いされている。
「お前は落ち葉を拾わないから、そんなことが言える」
といわれるかもしれませんが、
なくなったらなくなったでさびしいと思う。
この梅の木は来年、実をつけるのだろうか。
古参の住民によれば、来年は無理でも再来年は実をつけるだろうとのこと。
果たしてその通りになるのか。
再来年、近くを通ったら確認してみたいと思う。