就職氷河期だからこそ

いま未曾有の就職氷河期だという。
就職氷河期という言葉が出始めたのは、15年ほど前だったと思う。
はっきり記憶しているのが、私より3年先に社会に出た兄が
就職活動しているときが、まさに就職氷河期だった。
私が大学に入ったころ、「おれらのころはよくなっているだろう」と
仲間内で話したのをはっきり覚えている。
ところが、よくなるどころかさらに悪くなった。
私と一緒に会社に入った同期には有名大学卒もいた。
その後も氷河期が続き、いま25〜27歳ぐらいの人たちが
就職活動をしていた時期だけは採用数が増えた。
これは団塊世代が大量に抜けた時期と好景気が重なったためだ。
そして、ご存知のようにリーマンショック後、また氷河期となった。
今回の氷河期は、私たちのころの比ではないようだ。
就職氷河期に社会に出た私たちの世代。
不況の時代に社会人になったとはいえ、振り返ってみて
あながち悪いことばかりではなかったと思う。
コスト感覚が身についたことはよかった。
バブル時代にどんぶり勘定でコスト感覚を身につけた人は、
いま大変な思いをしていると思う。
誰でも社会人になって5年目までに身につけたことは
その後の仕事でもずっと生きていく。
頭の中を変えるのは難しい。
厳しいからこそ工夫しようとする。それも切実な意味で。
そう考えたら、就職氷河期も悪い面ばかりではない。
社会や時代を呪ってもしかたない。
「ああ、この時代に生まれてよかった」と思える自分をつくればいい。
それだけのことなのだ。